スパイダーマン

この「スパイダーマン」は池上遼一氏の漫画版。

池上遼一氏は私は『クライング フリーマン』、『HEAT -灼熱-』、『男大空』など好きな作品が多いんです。特に、『信長』は最高。2003年に、最終巻を含めた全8巻が出たときには、思わず全巻買いなおしてしまいました。もろもろの事情で小学館版は7巻までしか出なかったんですよね。

2010年の朝の連ドラ「ゲゲゲの女房」でも池上氏をモデルにしたキャラの倉田圭一が出ていましたね。

 

さて、このスパイダーマン

はっきり言って原作とは全然違うキャラでしたね。

これは、確か、スタン・リー氏も言及していた気がします。

1番違和感を感じたのは、ピーター・パーカーの軽いノリが、今作の主人公小森ユウにはないことかも。すっごく暗いイメージでした。

 

オリジナルと同じ名前の敵と私が認識できたのはエレクトロ、リザード、ミステリオの3人だったかな。エピソード的にはちょっと似ているかもって思ったりもしましたが、うーん、やっぱ全然別物でもありますね。

 

途中からは、路線がかなり変わっていって、もうヒーロー漫画じゃないあなって感じでした。路線が変わるって言えば、この作品、平井和正氏も参加しているのですね。平井和正氏に関しては、小説『幻魔大戦』が3巻くらいまでがめっちゃ好きだったのですが(ちょうど、映画の幻魔大戦のニューヨークでの戦闘くらいまでかな)、こちらも路線がなんかわけわからない方向へ進んじゃって、7巻か8巻くらいで断念した覚えがあります。今回のスパイダーマンもそうなのかなあって思ったけど、平井和正氏はすでにこのスパイダーマンの路線が変わっちゃったと私が感じる後からの参戦みたいですね。

 

それでも、嫌味ったらしい編集長?らしき人物は出てくるし、主人公を育てているのはおばさんだったり、粘着液は自作だったり、原作との共通点もあるんですよね。それに4巻収録のエピソードはめっちゃ面白かったです。全然、正義のヒーローではない超人としてのスパイダーマンが描かれてる、ってそんなイメージを私は受けました。

 

なんか、ホントにどう評価していいかわからないスパイダーマンですが、それなりに私は楽しめました。最後までちゃんと読めちゃったもん。そうそう、最終巻のあとがきに、池上遼一氏へのインタビューの中で高橋留美子さんが「子供の頃『スパイダーマン』を読んで漫画家になろうと決心しました」と言われたとのコメントがありました。すっごくそれが印象に残っています。